So-net無料ブログ作成
検索選択

白滝山〈開作ルート〉(下関市豊田町殿居) [県西部の山]

以前林道開作線に入り天井ヶ岳をめざしたことがあったが、途中大きな崩落箇所があり通行不能のため断念した。今回は開作側から白滝山を南尾根伝いにめざし、帰路は開作川の谷へ下った。
せき止め湖の先のスギ谷を詰め尾根に上がると、四等三角点(点名「殿居」)まではシダ尾根が残るが、その先からは雑木の切開きが続き、山頂近くのヒノキ林に出合うまでは快適に歩ける。稜線上に風力発電の風車が林立しこのところ登高意欲をそがれていたが、思わぬ拾い物となった。
ただ、帰路天井ヶ岳への縦走路の最低鞍部から踏み跡のない開作側の谷へ下ったところ小滝が続く渓谷となり、わずかに残る高度差のあるそま道を肝を冷やしながら何とか下った。
安易には入れぬ山域だが、炭焼窯跡や(仮?)住居跡が多数残っており、山の生活史の一端に触れた一日となった。(2013.04.27)
P1090578.JPG渓谷に立つ樅の木
白滝山2-1.jpg (クリックで拡大)
白滝山2-2.jpg


殿居小学校の横から集落道に入り、最奥民家からさらに進むと舗装が切れるところで右に堰堤があり、駐車スペースがある。
P1090479堰堤.JPG堰堤

未舗装の林道を進むと、前回の崩落地点へ着く。崩落斜面はまだ安定しているとは言えず、災害時にはまた林道が潰れるかもしれない。
P1090480未舗装林道に入る.JPG未舗装林道に入る
P1090481前方に三角点ピークと風車.JPG前方に風車がのぞく
P1090482旧崩落箇所.JPG旧崩落箇所

さらに300mほどで広場に出る。右にせき止め湖の対岸へ通じると思われるコンクリート橋があるが、現在は利用されていないようだ。
P1090485広場と林道.JPG広場
P1090484コンクリート橋.JPGコンクリート橋

広場の左奥には「殿居株山之碑」があり、碑文を読むとこのあたりの歴史が分かる。
P1090627殿居株山之碑.JPG殿居株山之碑 (クリックで拡大)

広場奥から入口にチェーンのある少し幅が狭くなった林道に入ると、まもなく右手に堰堤を見る。少し先で前方に天井ヶ岳がのぞく。
P1090490堰堤.JPG堰堤
P1090491天井ヶ岳.JPG天井ヶ岳

さらに100mほどスギ林沿いに進むと、谷が左に分かれるので、これに取り付く。
P1090492スギ゙林の林道.JPGスギ゙林の林道
P1090493取り付き.JPG取り付き

尾根鞍部をめざしてスギ植林の谷を詰める。
P1090494杉谷を詰める.JPGスギ谷を詰める
P1090498スギ谷.JPGスギ谷

支谷が右、左に分かれるので、方向を確認しながら進むと、低木ヤブから少しシダヤブを分け尾根へ出る。
シダヤブのところでカサカサと小さな音を立ててヤマカガシが挨拶に出てきた。まだ動きはのろいようだ。このところ麓では何度か見かけたが山中では初めてである。「銭形の親分」の登場もそろそろだろう。安心してヤブを漕げる季節ではなくなった。

P1090499低木ヤブ.JPG低木ヤブ
P1090501雑木尾根(右方向).JPG雑木尾根(右方向)

雑木尾根を少し進むと、掘割り状の峠(鞍部)に着く。両側の谷に山道が残っている。
P1090503堀割状の鞍部.JPG堀割状の峠

正面のシダつきの雑木尾根に取り付く。
測量の際についた踏み跡かケモノ道か判明ではないが尾根の左(西)寄りにあり、シダが薄いのでこれをたどって登る。ところどころ地籍多角のプラスチック杭が設置されているので、一応目印になる。
P1090506シダ付き尾根.JPGシダ付き尾根
P1090507けもの道等シダの薄いところを進む.JPGシダの薄いところを進む
P1090511測量時の巻き道.JPG巻き道

勾配が緩み疎林ヤブを抜けると四等三角点ピークに出る。南西方向が切開いてあり狗留孫山が遠望できる。
P1090512雑木疎林.JPG雑木疎林
P1090513四等三角点ピーク.JPG三角点ピーク
P1090514狗留孫山.JPG狗留孫山

少し雑木ヤブを分けると境界石杭などが設置された支尾根分岐点に出る。
P1090515支尾根分岐点・石杭ほか.JPG支尾根分岐点

ここから先はシダが消え、切開きの雑木尾根が続き快適に歩ける。
P1090517雑木切開き.JPG雑木切開き
P1090519雑木尾根.JPG雑木尾根

480mピークを過ぎ鞍部を登り返すと、角張った岩が連続する岩尾根となるが、石段を登るような感じで足場があり、比較的楽に登れる。
P1090521 480mピーク.JPG480mピーク
P1090523岩尾根.JPG岩尾根
P1090524.JPG岩尾根

やがて再び雑木尾根の登りとなり、560mピークからは平坦尾根に変わる。
P1090525雑木切開き.JPG雑木切開き
P1090526 560mピーク.JPG560mピーク

さらに雑木切開き尾根を登り切ると、左からの支尾根と合わさり、590mピークに達する。
P1090527雑木切開き.JPG雑木切開き
P1090530 590mピーク.JPG590mピーク

再び平坦雑木尾根を進み、切開きの斜面を登り切るとヒノキ林境の630m平坦ピークの東端部に着く。
P1090532支尾根分岐.JPG支尾根分岐
P1090540雑木切開き斜面.JPG雑木切開き斜面
P1090541石杭等・630m支尾根合流点・ヒノキ林境.JPGヒノキ林境の630mピーク

右折しヒノキ林境を下り登り返すと稜線間近となるが、稜線上はヤブ化しているので、手前のスギの大木のところから左折し、ヒノキ林境を少し進むと稜線上となる。
P1090542ヒノキ林境を下る.JPGヒノキ林境を下る
P1090543ヒノキ林境の上り.JPGヒノキ林境の上り
P1090545主尾根方向のヤブ.JPG稜線方向のヤブ
P1090547ヒノキ林境・主尾根.JPGヒノキ林境

まもなくトラロープが現われ、コンクリートの法面上に出る。下は風力発電施設の管理道となっており、前方には林立する風車が眺められる。
P1090548管理道のガケ上に出る.JPG法面上に出る
P1090549ガケ上から山頂方向.JPG山頂方向

左折して、ガケと平行に付けられたトラロープ沿いの踏み跡をたどり、コンクリート斜面の取り付け道を下ると。管理道に出る。
P1090551トラロープに沿って踏み跡を進む.JPGトラロープ沿いに進む

管理道を横切り、向かい側のコンクリート斜面の取り付け道を登り、雑木尾根伝いに山道を進むと白滝山山頂の小広場に至る。
P1090553法面に付けられた取り付け道.JPG管理道と取り付け道
P1090555尾根道.JPG尾根道
P1090556白滝山山頂.JPG白滝山山頂

山頂からは北西方向に大浦岳や角島、東方向に一位ヶ岳が望める。
P1090557大浦岳・角島.JPG大浦岳・角島方面

帰路はそのままロープ伝いに西尾根を下ると再び管理道に出会う。管理道の向かい側には田耕側の登山コースが続いている。
P1090559下山道.JPG下山道

ガケ上の縦走路をもう一度歩く気がしないので、そのまま管理道を東に向かい、東端のNo.1風車の建つ広場まで行き、広場の東端から踏み跡をたどって縦走尾根へ上がった。

(注)後日この管理道は登山道の横断以外は「関係者以外立入禁止」となっていることを知った。したがって登山者はガケ上の縦走路を歩かねばならない。

縦走路上は雑木尾根の切開きが残っており快適に歩ける。
P1090563縦走雑木尾根.JPG縦走雑木尾根

縦走路の最低鞍部へ下ると、掘割り状となっており、北側にテープが付いている。以前歩いたことのある豊北峡へ下るルートの目印と思われる。
P1090564堀割状の鞍部.JPG堀割状の鞍部
P1090566豊北峡側(北側)へのテープ.JPG豊北峡側(北側)の谷

(注)数日後、豊北峡側から白滝山へ別ルートで登り、帰路この北側の谷へ下ったところ、すぐにテープが消え、以前の記憶を頼りに支尾根を下ったら、再び山道に出会いテープもあった。しかし、さらに下った支谷で砂防ダム工事が行われており、登山道が寸断され、迂回路も設置されていない(登山者を想定していないのか前後に立入禁止や通行止めの表示もなかった)。また、三連の滝の先で小規模のガケ崩れにより登山道が潰されている。したがって、現在のところ分かりにくいコース(特に下り)となっているので注意が必要である。

鞍部から南側へは稜線沿いの巻き道がわずかに残っているが、谷方向へは山道や踏み跡はない。雑木疎林で見た目は歩きやすそうなので、当初の予定どおり下ってみることにした。
P1090568開作側(南側)の谷.JPG開作側(南側)の谷

谷を下るとガレ石の涸れ沢となり、ところどころ炭焼窯跡が残る。そばには仮設程度の住居跡と思われる平坦地があり、鍋、茶碗、一升瓶など生活の跡を見ることができる。また、近くには原生か植えたものかわからないが樅の木(?)の大木がある。いわゆる「樅の木は残った」というやつである。この三点セットをあちこちに見ることができる。
P1090569樅の木(?)の大木.JPG樅の木
P1090570炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090571錆びた鍋.JPG錆びた鍋
P1090572茶碗のかけら.JPG茶碗のかけら
P1090573平坦地(住居跡?).JPG平坦地(住居跡?)
P1090574ガレた沢.JPGガレた沢
P1090576炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090577大木.JPG樅の木
P1090579.JPG樅の木
P1090582炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡

地形図上で河川を示す青線が途切れる標高460m付近で小滝に出会い、進退に窮する。周りを見回しても切り立ったガケしかなく、そま道らしきものは見当たらない。踏み跡のない谷へ入り込んだのを今さらながら後悔しはじめた。
生来の小心者で高所は苦手のため岩登りや沢登りはやらない。したがって沢を歩く技術は全くない。しかし、ここでそんなことを言っても始まらない。とにかく行くか戻るか決めなければならない。時間も午後をだいぶ回っている。
そこで炭焼窯跡があるからには、どこかに歩けるところがあるはずだと思い直し、先に進むことにして、まずは高巻きできるところを探すことにした。
P1090583小滝(上部から).JPG小滝(上部から)

右手のガケが緩いため、これをよじ登って高巻きし、100mほど下流で再び沢に下りた。
その後も渓流が続き、歩けそうなそま道を探しながら下る。林道へたどり着くまでこうした状態が約1kmほど続き、抜け出すまで優に1時間半は要した。途中何度か落石し、「ガ、ガ、ガーン」という音が谷底で響きわたるたびに足がすくんだ。両岸のガケが迫っているせいかGPSもほとんど役に立たず、したがってこの間のルート図の位置は大まかなものである。

小滝や炭焼窯跡が次々と現われ、何度か沢を渡り返す。
P1090584ナメ滝.JPGナメ滝
P1090585炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090586窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090587ナメ滝.JPGナメ滝
P1090588炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090591小滝(6m).JPG小滝
P1090592沢を歩く.JPG沢を歩く
P1090594炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090595住居跡(トタン板等).JPG住居跡
P1090596炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1090598滝.JPG
P1090599そま道(逆方向).JPGそま道(逆方向)

やがてナメ滝の上に朽ちた丸木の橋が架かっているところへ出る。対岸が突出したガケとなっており、橋の先の状況が見えないため、ここで再び思案する。橋があるからには対岸に道が残っているはずだと、意を決し先に進むことにした。というより先に進むしかない。
P1090601ナメ滝と朽ちた丸太橋.JPGナメ滝と朽ちた丸木橋
P1090602ナメ滝と朽ちた丸太橋(下から).JPG丸木橋(下から)

丸木橋は朽ちてとても歩ける状態ではないため(現役のときでも歩けたかどうか疑問だが)、滝上部の岩の上に降りて、滑らないよう恐る恐る渡り、対岸の斜面を少しよじ登ると、道があった。
P1090603対岸に山道(逆方向).JPG対岸に山道(逆方向)
P1090604山道.JPG山道

角張った岩が重なる岩海沿いの道を進むと、対岸に大岩が現われた。そばの枝に測量用と思われるピンクテープが付いている。天井ヶ岳の稜線に付けられたものと同じもののようで、ガケ上部に続いているようだ。
P1090606岩海沿いの山道.JPG岩海沿いの山道
P1090607大岩の渡渉箇所.JPG大岩

そま道がここで途切れるので、一旦沢に下りて沢沿いに進む。炭焼窯跡や住居跡を右に過ごし、少し先で沢を渡ると、そま道がガケ上に続いている。古いロープが付けられたへつり箇所を通過し、ガレ場の斜面を下ると対岸へ渡る。すぐ先で渡り返すと荒れた平坦地へ出る。
P1090614小滝.JPG小滝
P1090615ガレ斜面を下る.JPGガレ場の斜面
P1090616沢渡り.JPG沢渡り
P1090617平坦荒地.JPG平坦荒れ地

平坦地の先でコンクリート張りの暗渠を渡り、荒れ林道に入る。
P1090618暗渠.JPG暗渠
P1090619荒れ林道.JPG荒れ林道
P1090620角ばった石の多い林道.JPG角石の多い林道

前方に平成10年度設置の砂防堰堤が見える開けた場所に出ると、右に「玄空和尚之墓」がある。
P1090621堰堤.JPG堰堤


P1090623.JPG玄空和尚の墓
P1090622玄空和尚の墓.JPG

次の堰堤を左に過ごし、スギ倒木の荒れた林道を進むと、上りの際のスギ谷の取り付き地点へ着いた。
P1090625堰堤.JPG堰堤
P1090626倒木の林道.JPG倒木の林道

■ 山の生きものたち:「タヌキ」
P1090535タヌキ.JPG
P1090537.JPG

590mピークをめざし雑木切開きの斜面を登っていると、右手の疎林でカサコソと音がした。見るとタヌキらしい。10mほど先の茂みで向こう向きに何やらモゾモゾ動いている。
シャッターチャンスとばかりカメラを取り出し撮影しようと待ち構えたところ、こちらに背を向けたまま座り込んでしまった。
しばらく息をひそめこちらへ向くのをじっと待ってみたが、いっこうに動く気配がない。そこで「オーイ、オーイ」と呼びかけてみた。それでも全く反応がない。それならとザックに付けたクマよけの鈴を揺らしシャランシャランとやってみても素知らぬ顔だ。年寄りで耳が遠いのだろうか。業を煮やして、よーしそっちがその気なら近づいてやるかと、腰を上げようと目をそらした瞬間、姿が消えていた。
今までのあの静けさはいったい何だったんだろう。これまでの経験からすると、こんなときは、「うるさいなぁ、仕方がない立ってやるか」といった調子でおもむろに立ち上がり、くるっと背を向けてスタスタと立ち去っていくのが常である。ところが今回のは素早かった。何だか化かされたようだ。
ウィキペディアを調べてみると、いろいろと興味ある記事が載っている。
高速道路での事故死ナンバーワンの動物というのはよく知られた話だが、臆病な性格から車のライトに目がくらみ立ちすくんでしまうことが原因らしい。
タヌキといえばずんぐりしたイメージがあるが、これはふさふさした毛のせいで、実際はスリムな体形だとか。
「ペアは相手が死ぬまで解消されない」というくだりには思わず笑ってしまった。
とにかくタヌキというのは話題に事欠かない。ほかに面白い実体験の話もあるが、これはまたの機会にしたい。

■ 余談

帰宅後、ひょっとしたらと「西中国山地の沢」(平成14年発行、三浦章著)を久しぶりで開いてみたら、「開作峡」として紹介されていた。初級、中級クラスの沢らしい。遡行図と数行の記載しかないのが寂しいが、「滑床が多く綺麗な沢である」と記されている。
著者は7年前、祖母山中において不幸にも転落事故で亡くなられたが、この本を読むと淡々とした記述の中に沢登りへの情熱が伝わってくる。あとがきも素敵だ。
「私の山行は真夏の藪山からはじまった、サルトリイバラのジャングルの中を頭から突入し、ひたすら頂上めがけて一直線に登った。」「冬は寒ければ寒い程良い。夏は暑ければ暑い程好きだ。」

それにしても、今回のような高所を歩くときはどうしてもへっぴり腰になってしまう。こんな格好はとても他人には見せられないし、見せたくもない。ましてや女性の前では沽券にかかわる。こんなこともひとり歩きを好む一因かもしれない。





コメント(2)