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岡山〈境界岩探索その2〉(宇部市東吉部、美祢市伊佐町伊佐) [県西部の山]

前回の探索後、地下上申絵図を調べたところ、いくつか疑問が湧き、現地で確認する必要性を感じたので、再度探索することとした。また、前回、前々回で歩けなかった北峰周回道の東側をついでに歩いてみた。
P1080173岡山北峰・南峰.JPGa峰付近から岡山北峰・南峰
岡山5.jpg (クリックで拡大)

周回道を歩いてみて、この山には大岩があちこちに散在するのことを、改めて認識させられた。したがって、多数存在する岩の中で境界の目印となるには、特徴があることのほか、ある程度の規模が必要ではないかと考え、前回対象とした岩の中で、C、E、Iなどの小規模な岩は対象から外すべきではないかと思い始めた。

また、旧村境については、基本的には現在の市境と同じであることを前提として探索したが、尾根上であるならともかく中腹の境界を長年(約260年)にわたり維持するのは、なかなか困難であることが推測される。

こうしたことを考慮に入れながら改めて探索を行った。探索にあたり予め整理した疑問点は以下のとおり。

①県道南側の旧村境はどこを通っているのか。(県道に接する尾根か、あるいは谷か)
②県道と合わさる旧村境の位置はどこか。
③「追分石」の位置はどこか。(地下上申では「せきせうか垰」に「追分石」があると記されているが、絵図では垰より北側の離れた位置に描かれている)
④地下上申絵図にある「鼓岩」はどこか。(絵図では、北から高嶽山、堂か原山、鼓岩の三つのピークが並んで描かれている)

これらの疑問点を中心に以下のとおり探索した。

◆ 旧村境の位置(県道南側部分)
国土地理院の2万5千分の1地形図では、県道南側の市境は支尾根西側の谷を通っている。
「地下上申」吉部村隣村境書のこのあたりの記述(ぬめり岩~割石)は、「右ぬめり岩より北平東ノ方え六分目通り廻り高嶽之尾え取付、此尾尾境ニて此尾下り、尾末ニ物境之わり石有之候」とある。
これによると、「ぬめり岩から東の方へまわり込みながら高嶽(岡山北峰)の支尾根に取り付き、尾根伝いに下って、尾根の末尾に割石がある」と解釈され、旧村境は支尾根上にあったと思われる。そこで、このあたりの支尾根上を歩いてみることにした。

市境近くの峠に車を置き林道に入る。最初のカーブを左に回り込むと、右手の植林帯の中にA岩二つを見る。次のカーブで支尾根を横切るところから、下の平坦な支尾根に入る。
P1080133支尾根下降部.JPG支尾根下降部

伐採木をよけながら尾根伝いに下ると、「美祢市」と記された小コン杭が尾根上に数ヶ所設置されている。
P1080134支尾根先端・美祢市コン杭.JPG支尾根先端
P1080137美祢市コン杭.JPG美祢市小コン杭

地形図上ではこの支尾根は現在宇部市側であるが、このことから、この支尾根は市境もしくは美祢市側に属すると判断される。ただし、下に県道が見える小ピークまで下ってみたが、「割石」と思われるような岩は見あたらなかった。

県道に戻り美祢市側へ向かう。市境表示板を過ぎ、左のヒノキ林が切れるあたりの奥に岩が見える。植林境を少し入ると、大きな亀裂の入った岩(K岩)が現われる。これまでの亀裂のある岩の中では、この岩の亀裂が一番はっきりしている。
P1080140支境表示板.JPG市境表示板
P1080142K岩.JPGK岩
P1080141K岩.JPGK岩(拡大)

地下上申絵図「吉部村」をよく見ると、境界岩が小さいながらそれぞれ特徴をとらえて描かれている。実写かどうかは分らないが、ハリ石(割石)も真ん中に大きく亀裂が描かれている。当初、地下上申の尾末に割石があるというので、「尾末」は支尾根末端あたりの小ピークではないかと考えていたが、支尾根末端の平坦地のことではないかと思い直した。
したがって割石の有力候補はこの岩と考える。ただし、大きな岩になると亀裂が入ったものが多く見られ、このほかにも候補が出てくる可能性はある。現に、この岩より100mほど西に下ったところの左下の谷にも岩(L岩)がある。現在は二つの岩になっているが、もとはひとつだったものが割れたものと思われる。
P1080210 L岩.JPGL岩

以上から、K岩を割石とすれば、県道南側の旧村境はこの岩から支尾根上に続き、谷を回り込んで、ぬめり岩に続いていたと考えられる。

◆ 旧村境の位置(県道部分)
県道上の市境表示板の位置と地形図上の市境が違っていることは前回報告した。今回県道から北側の林道を歩いてみて、新たな事実が分った。
地形図上の市境と並行して林道が北に向かって延びており、これを進むとすぐ右手に地形図には表示されていない堤がある。先で峠から延びた林道が合わさり三叉路となるが、この二つの林道が三角形の形で堤を囲んでいて、市境はこの三角形の上部を横切り、さらに林道を横切って、支尾根沿いに付いた山道の方へ続いている。
P1080148林道入口.JPG林道入口
P1080146鳥越堤.JPG鳥越堤?
P1080147山道分岐(市境).JPG山道分岐(逆方向)

地下上申の吉部村隣村境書には、「此のわり石より鳥越堤え取付、此堤北ノ方へ三分めハ伊佐村、七分め南の方は木部村、此堤よりは木部村之内犬か迫より伊佐村之上ノ村え出るル道え取付、此道を横切夫より西か迫岡山え取付嶺尾切り」とあり、上記の地形と符合している。したがって、おそらくこの堤が「鳥越堤」であろう。そうすると、県道から北側の旧村境は地形図の市境位置と合っており、市境表示板の位置とは違っていることになる。

◆ 「追分石」の位置
「地下上申」吉部村の絵図によると、「追分石」は「せきせうか垰」より北側の離れた位置に描かれていることから、再び探索してみた。
そこで、せきせうか垰は前回どおり掲示板付近とすると、その北側にある小ピークが怪しいと考え、現地をあたってみることにした。

県道沿いの上杉谷会館近くにある路側帯に車を移動し、東へ200mほどのところから林道に入る。右上に墓地を過ごし、産業廃棄物保管場所の広場を通って、少し荒れ加減の林道を奥へ向かう。
P1080150岡山北峰.JPG杉谷側から岡山北峰
P1080153産業廃棄物保存所(逆方向).JPG産業廃棄物保管場所(逆方向)
P1080154林道.JPG林道
P1080155.JPG林道
P1080156第一堰堤.JPG第一堰堤

二つ目の堰堤のところで林道終点となる。
P1080159第二堰堤.JPG第二堰堤

古い山道らしき跡が先に続くが、すぐに道が消失するので、歩きやすいところを選びながら植林や雑木の支尾根伝いに登り切ると、伐採植林尾根へ抜け出る。前方には「つぶ池山」などの小ピークが並ぶ植林帯の稜線が広がる。
P1080160支尾根に取り付く(旧山道がなjy。.JPG支尾根に取り付く
P1080168つぶ池山方向.JPGつぶ池山方向の植林帯

左折し、ヤブ気味の植林境を進むと、標高350mの平坦ピーク上で二つの岩(M岩)に出会う。それぞれ表面には凹状のへこみが認められ、いくつかはひづめなどの足形に見えなくもない。
P1080163 M-1岩.JPGM-1岩
P1080164M-1岩(表面).JPGM-1岩(表面)
P1080165M-1岩(表面裏側).JPGM-1岩(表面裏側)
P1080166M-2.JPGM-2岩
P1080167M-2.JPGM-2岩
P1080169M-2岩(裏側).JPGM-2岩(裏側)

地下上申絵図によると、旧村境はせきせうか垰から追分石に続き、さらに狼岩へ続いている。この岩を追分石とすれば、隣村境書の記述からすると狼岩は少なくとも標高350mより以下の高さのところにあると考えられ、現在の市境とは数十メートル下方の位置となり、狼岩の位置の見直しも必要となってくる。

◆ 「鼓岩」の位置
地下上申絵図を見ると、北から高嶽山、堂か原山、鼓岩と三つの山が描かれており、隣村境書によれば、これらは旧村境より吉部側に外れていることがわかる。
そこで、M岩から一旦主稜線の林道に出ることにした。ヒノキ植林の平坦尾根は見通しがきかないため方向が定めにくく、また植林の間はイバラなどがヤブ化しているので、実に歩きづらく、GPSの助けを得ながらやっとの思いで抜け出た。

「鼓岩」は岡山南峰(堂か原山)から延びた尾根上の小ピークではないかと推測し、公社掲示板周辺の小ピークをあたってみた。
P1080170掲示板.JPG掲示板

まず掲示板から南西方向の小ピーク(a峰)へ植林境を利用して上がってみた。下草がヤブ化しており、山頂付近まで歩いた範囲では特徴のある岩は見出せなかった。

次に、掲示板の南東方向にある小ピーク(b峰)へヒノキ低植林帯のヤブを上がったが、展望もきかず、歩いた範囲では岩らしきものは見あたらなかった。

その次に、岡山南峰から南西方向に延びる尾根上にある標高380mの平坦ピーク(c峰)をあたってみた。林道を南に進み、ヒノキ植林が切れるあたりの雑木疎林尾根から取り付く。道もなく疎林の間を抜けながら上方へ進むと、岩が集積した平坦ピークに出る(N岩)。「鼓岩」という名前から推測し、岩の上で足踏みすると音がするのかもしれないと、平坦岩の上で試してみたが確認できなかった。
P1080174岡山南西尾根の岩群.JPG南峰南西尾根の岩群

さらに上方へ向かい伐採植林境に出て、植林境を進むと、岡山南峰の山頂へ着く。山頂にはお馴染みの平坦岩がある。
P1080175南西尾根植林境.JPG伐採植林境
P1080176南峰山頂.JPG南峰山頂
P1080177山頂の展望(日ノ岳・岡山北峰・荒滝山).JPG山頂の展望(日ノ岳・岡山北峰・荒滝山)

岡山南峰の西尾根上にある標高380mの平坦小ピーク(d峰)も可能性があると思ったが、今回は探索を省略した。

◆ その他の岩
帰路は、山頂からササを分けながら北へ向かい、周回道の南端ピークへ出た。ここから反時計まわりで北峰の中腹を回り込み、西側から連結する山道を下り、林道へ出た。
北峰東側の周回道を久しぶりに歩いたが、ササでヤブ化している箇所もあり、荒れが進んでいる印象を受けた。所々大岩もありそれなりに楽しめる。
P1080178植林境のササヤブ.JPG植林境のササヤブ
P1080179周回道(下降).JPG周回道(東へ下降)
P1080180林道分岐点(逆方向).JPG最初の林道分岐点(逆方向)
P1080182林道分岐2(逆方向).JPG次の林道分岐点(逆方向)
P1080183周回道.JPG周回道
P1080184周回道.JPG周回道
P1080185周回道(ササヤブ箇所).JPGササヤブ箇所
P1080186ササヤブ箇所(逆方向).JPGササヤブ箇所を抜ける(逆方向)
P1080187皇太子御手捲松植栽記念碑.JPG御手捲松植栽地記念石柱
P1080188異形の岩.JPG記念石柱そばの異形岩
P1080189周回道.JPG周回道
P1080190周回道.JPG周回道
P1080191大岩.JPG大岩
P1080193岩群.JPG岩群
P1080194岩群.JPG岩群
P1080195倒木箇所(逆方向).JPG倒木箇所(逆方向)
P1080197岩.JPG
P1080198大岩.JPG大岩
P1080199山頂尾根北端部.JPG北峰山頂尾根の北端部
P1080202山道.JPG連結山道

また、林道を北へ進みながら、これまで見逃した岩をいくつか見つけた。
まず、支尾根を林道がまわり込んで横切るところで、右上はB岩群が続くが、林道の左下にも岩が重なりあっている(B-7岩)。
P1080204B-7岩.JPGB-7岩

次に左カーブして谷を大きく回り込むと、谷を挟んだ向かい側の支尾根に大岩(O岩)がある。
P1080205 O岩.JPGO岩
P1080207 O岩.JPGO岩

さらに、左下にA岩を過ごし、次の右カーブする支尾根上に岩(P岩)見る。その上方にも大岩(Q岩)が見える。
P1080209 P岩.JPGP岩
P1080208 Q岩(遠望).JPGQ岩(遠望)

こうしてみると実に山中のあちこちに大岩があり、これらを探索しネーミングしていくのも面白いかもしれないと思った。