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重ね岩・弾正原(下関市豊浦町宇賀、豊北町宇賀) [県西部の山]

「道の駅 北浦街道 豊北」で入手した豊浦町観光協会のパンフレットに、大河内温泉の「重ね岩様」と「山桃の木」の記事があり、興味をそそられたので、その探索ついでに「弾正原」を10数年ぶりに歩いてみた。

以下、パンフレットの記事を転載する。
■重ね岩様
「広さ6畳敷き、厚さ1間もある巨岩が2枚重なっています。この岩はその昔いたずら鬼に困っていた民衆が、鬼に沖の八丈岩を大河内の山頂に一晩で3枚積み重ねたら大河内の差配を任せようと申し出、困る民衆を助けるため森の神様が鶏の鳴き真似をし、鬼は驚いて最後の岩1枚を残して逃げたといわれています。2枚岩の袂には祠があり、毎年この地が平穏であるようにと願い、祭りが行われています。」
■山桃の木
「山頂付近に幹周り約7メートル、樹齢200年の山桃の大木があります」

なお、「重ね岩様」の記事は、「豊浦町史」(昭和54年豊浦町発行)の民間伝承の項に拠るものと思われる。
P1050697弾正原方向.JPG弾正原の山並みと半鐘・庚申塚
重ね岩・弾正原.jpg (クリックで拡大)

大河内交流センターと道を隔てたところに広い駐車スペースがある。
半鐘と親子庚申塚が並ぶところから左方向に上がる集落道に入る。
P1050619棚田・集落道.JPG棚田・集落道

三界万霊と古墓が並ぶところから鋭角に右カーブして登ると、舗装集落道の終点となる。
P1050620石仏・墓.JPG石仏・墓
P1050622舗装道終点.JPG舗装道終点

山道に入り、トタン小屋を右に過ごすと、支尾根上に出る。
P1050623トタン小屋・山道.JPGトタン小屋・山道

左上に古墓を見て、堀割状の山道を進むと、竹林の荒れた道となる。
P1050626古墓・堀割道.JPG古墓・堀割道
P1050629竹林の荒れ山道.JPG竹林の荒れ山道

やがて道が枝分かれし、不明瞭になると、右上の主要道とおぼしき道を選びながら進むが、道が荒れてくる。
P1050630道が不明瞭となる.JPG道が不明瞭となる
P1050631荒れた山道.JPG荒れ山道
P1050632荒れた山道.JPG荒れ山道

左が棚田跡沿いの道となり、ヒノキ林に入る。
P1050633棚田跡沿いの山道.JPG棚田跡沿いの山道
P1050634ヒノキ林.JPGヒノキ林

道が支尾根と合わさり、左へ回り込むあたりで、右のヒノキ林の中に奇妙な石積みを見つける。大岩の前の空間を囲むように、高さ2.5mほどの石垣状に積まれていて、崩れた様子はない。風除け、あるいは宗教的なものだろうか。
石積みの上部は大岩が重なっている。
P1050635得たいの知れない石積み.JPG石積み(右側面)
02P1050825石積み.JPG石積み(左側面)P1050636.JPG石積み(前面)
04P1050639.JPG石積み(上方から)
05P1050830同上.JPG石積み上方のA岩
07P1050827重ね岩.JPG石積み上方のA岩

支尾根上が雑木疎林で歩きやすそうなので、これに取り付き、緩やかな尾根を登る。
P1050640雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根

平坦尾根に出ると切開きがあり、これを進むと主尾根上で防獣ネットに出会う。
P1050641切開き.JPG切開き
P1050642坊獣ネット.JPG防獣ネット

左折し、ネット沿いに進む。鞍部など所々に出入り口があり、これをくぐってネットの向こう側に出るとよい。また、ネット上は有刺鉄線となっているので、脇を歩くときは注意したい。(私もつい引っ掛け、登山シャツの袖を少し破いた)
P1050644ネット沿いの道.JPGネット沿いの道
P1050645鞍部・ネット出入口(トタン板).JPG鞍部のネット出入口
P1050646鞍部北側(植林帯).JPG鞍部北側(植林帯)
P1050647鞍部南側.JPG鞍部南側

左ヒノキ林に変わると、338mの平坦ピークとなる。
P1050651境界石柱(338mピーク北側).JPG338mピーク近くの境界石柱

次の鞍部で右に山道が分かれる。この道を下ると林道に出ると思われる。
P1050652鞍部北側.JPG鞍部北側

平坦尾根をさらに進むと、途中、右に切開きがあり、先のヒノキ林の中に通信施設らしきものが見える(気を付けていないと、見過ごしやすい)。あらかじめネットで検索した際、「弾正原パイロットタワー」なるものがヒットしたが、どうもそれらしい。風力発電施設の計画があり、その関連施設のようだが、計画は立ち消えになったと地元で伺った。本郷川を隔てた対岸の山稜には、10基ほどの風力発電施設がすでに稼動している。
P1050656パイロットタワー.JPG通信施設

340mピークを過ごし、ネット沿いに下っていくと、ヤダケが密生して歩きづらくなるので、ネットを離れ、右折し切開きをたどって主尾根上に出る。
P1050660340mピーク付近).JPG340mピーク付近
P1050662ヤダケ.JPGヤダケ

境界石が所々置かれた右ヒノキ林の植林境尾根を進む。
P1050663植林境.JPG植林境
P1050667旧町境界尾根分岐(石積み).JPG旧町境界尾根分岐の石積み
P1050668境界石積み・石柱.JPG境界石積み・石柱

一旦鞍部へ下り、登り返すと弾正原山頂に着く。三角点(基準点名「中道」)のある山頂は、樹木に囲まれ展望は得られないが、静かで落ち着ける空間だ。
P1050672鞍部東側(植林帯).JPG鞍部東側(植林帯)
P1050673山頂への登り.JPG山頂への登り
P1050674弾正原山頂.JPG弾正原山頂

帰路は、西側の谷を大河内側へ下ることにした。
一旦鞍部へ戻り、石積のある旧町境まで登り返す。不明瞭ながらわずかに切開きの残る雑木疎林の旧町境尾根を下ると、再びネットに出会う。
P1050677ネットに再び出会う.JPGネット

そのまま右折してネット沿いに尾根を下り、鞍部(峠)に出る。
P1050678ネット沿いの道.JPGネット沿いの道
P1050679鞍部出入口.JPG鞍部出入口

ネットをくぐり、南側のスギ植林谷に残る山道を下る。途中いくつか炭焼窯跡を見る。
P1050680炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1050681植林帯の山道.JPG植林帯の山道

棚田跡沿いの道となり、溜池に出る。
P1050682棚田跡沿いの山道.JPG棚田跡沿いの山道
P1050683溜池.JPG溜池

右の植林帯の中に明瞭な炭焼窯跡を見て、さらに下るとネットが現れる。
P1050686炭焼窯跡.JPG炭焼窯跡
P1050687ネット現る.JPGネット現る

左の谷側に設置されたネット沿いの巻き道となり、枯れた小枝の積もる山道を下っていく。
P1050688枯れ枝の積もる山道.JPG枯れ枝の積もる山道

幅広の尾根道から右の巻き道に変わる。樹林の中に鹿の角研ぎ跡を見る。同じ幹の両側に新旧の研ぎ跡が付けられていてた。鹿の親子が時を隔てて付けたのだろうかと想像してみた。
P1050689幅広の尾根道.JPG尾根道
P1050690尾根道.JPG尾根道
P1050692古い磨ぎ跡.JPG古い研ぎ跡
P1050691鹿の角磨ぎ.JPG新しい研ぎ跡

植林境を下り、集落に近くなったところで分岐に出る。
P1050693植林境の山道.JPG植林境の山道

すぐ先で民家と平行に張られたネットに出会い、右折して進み、民家の間を下ると、県道に出る。
P1050695ネット沿いの山道(逆方向).JPGネット沿いの山道(逆方向)
P1050696下山口.JPG下山口

■山名考
「弾正原」は、旧地形図には「澤(だん)正ヶ原」と記されていた。以前から聳肩体では表記されておらず、地名扱いとなっていたが、最新の「ウオッちず」では聳肩体で記されている。
「豊浦町史」の地名の項に、宇賀地区の地名として、「弾上ヶ原(だんじょうがはら)」と「弾正原(だんじょうばら)」の二つが見られ、「重ね岩」の地名もある。
また、「角川日本地名大辞典 山口県」の巻末資料編「小字一覧」には、豊北町北宇賀の小字名として「檀上原」が見え、同じ地名ではないかと思われる。

■重ね岩
「重ね岩」については、観光パンフレットに掲載されていることから、当初、簡単に見つけることができると思っていたが、最初の探索では、決め手の祠も見当たらず、結局3回にわたり現地へ足を運ぶ羽目となった。
1回目、地元のおばあさんに「重ね岩」のことを尋ねたところ、「私はよそから嫁に来たので知らない」と言われ、2回目の初老の男性からは「そんな話を聞いたかも知れないが…」と何とも頼りない展開となった。
そこで、豊浦町観光協会へ問い合わせたところ、「大河内温泉の平田旅館のご主人に説明していただける」とのことなので、連絡を取り、3回目に臨んだ。

ご主人には、週末のお忙しい時間を割いて、わざわざ登山口(舗装集落道の終点)まで案内していただいた。
ご主人の話によると、「重ね岩へ行ったのは随分前のことなので、明確なことは覚えていないが、谷沿いの道を進み、右手の谷へ入る。重ね岩は尾根上にはなく、尾根より下側にある。見上げるような岩ではあるが、餅を二つ載せたような重なりではない。たもとに祠はあったと思うが、木製か石祠かは定かではない。岩からの見晴らしはよかったと思う。
麓の中組で今も祀っているが、高齢化したので、今は岩までは行かず麓でお参りしているようだ」とのこと。「山桃の木」については、「ヤマモモは山中のあちこちにあるので…」とのご返事。また、奇妙な石積の話をしたところ、ご存知なかった。

ご主人の話から、重ね岩は山道から右側のいずれかの谷へ入ったあたりにあると推測される。3回の探索により、右側の谷のほとんどを歩いてみたが、多少怪しいかなと思われるのはA岩、C岩の2つ。そのほか右側の谷ではないが、もう1つ、B岩がある。
いずれも祠は見当たらず、決め手となるものはない。
P1050726平坦岩.JPGB岩
P1050742大岩B.JPGC岩


なおA岩の先にも石組みや人工的に石を積んだものが散見される。また、石組みの上方には大木があり目印となる。
10P1050802石組み.JPG石組み
P1050804大木.JPG大木

また、山中に岩や石が多いためか、通常境界石はひとつだが、ここでは数個重ねてある。奇妙な石垣状の石積みや人工的な石積みなど、昔からこのあたりは石を重ねる風習があったのかもしれない。
後日、三つの岩の写真をご主人に見てもらったところ、重ね岩はB岩のような感じだったとのこと。

今回の山行では重ね岩を特定できなかったが、いずれ再訪したい所だ。平田旅館のご主人からは、短時間ではあったが他にもいろいろと興味深いお話を伺った。温泉は「美人湯」として有名で、湯船は広くないが、つるりとした湯の感触がいい。

(注)後日再訪し、重ね岩を見つけた。 →2013.8.12の記事を参照